昭和の時計とソ連の時計

古い時計のあれこれ

どっこい生きてるボストーク!

時計王国の栄光と没落

公開日:2020/02/02    最終更新日:2024/03/03

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ソビエト連邦は、1970年代に躍進する日本にその座を奪われるまで、スイスに次ぐ世界第2位の時計生産量を誇る時計王国でした。そして、それを下支えしていたのが ПОЛЕТPoljot)*1  のモスクワ第1時計工場を始め、СлаваSLAVA*2ПобедаPobeda)*3 などのモスクワ第2時計工場、Заря (Zarya)*4  を生産したソ連で最大のペンザ時計工場 *5РакетаRaketa)*6 が有名なペトロドヴォレツ時計工場、ソ連懐中時計の代名詞 Молния (Molnija)*7  のチェリャビンスク時計工場、そして КомандирскиеKomandirskie)*8Амфибия(Amphibian)*9  で知られるチストポリ時計工場(ボストーク)など、18とも20とも言われる時計工場でした。しかし、1991年のソ連崩壊による社会情勢の急激な変化と、経済悪化の中で多くの時計工場がその姿を変えていきました。
 
時計工場の一部は耐えられず消滅し、また別の工場は買収されブランドだけが残りました。社外製のムーブメントを取り入れ存続の道を選んだ工場や、規模の縮小や他の産業へ移行した工場もあります。そして、多く工場がソ連時代から続く時計製造に幕を下ろす中、ソ連時代と変わらない形で時計を作り続けていたのが、チストポリのボストーク社です。


目次
 

 ボストークが消滅?

そんなボストークが「破産し消滅。後に設立されたボストーク・ヨーロッパが代わって、新たなブランドの時計を製造している」や「倒産し権利が複数の債権者の手に渡り、工場はバラバラに成った」等々の文章が見受けられます。それは本当なのか?
 
 
 タタールスタン共和国チストポリ市のボストーク

f:id:raketa:20200128205307j:plainАвтор: Добрый ТиП at ru.wikipedia, CC BY-SA 3.0

 
こんな記事(2016年)をソ連時代からボストーク社が工場を構える、タタールスタン共和国のビジネス電子新聞 「Бизнес Online」 で見つけました。*10
 
ボストーク社は 2010年に、支払い不能に陥り一度倒産しましたが、企業体は再組織後、現在もタタールスタン共和国のチストポリで、ムーブメントから一貫生産するロシア唯一の時計メーカーとして生産を続けています。 *11

 «Бизнес Online»  の中で、ボストーク社の経営者が現状の説明や、ロシア時計メーカーの苦しい状況を訴えています。また、倒産をマスコミが大袈裟に伝えるので、風刺テレビトークショー «Прожекторперисхилтон» にまで弄られたと、少し根に持っているようです。

ビジネス電子新聞 «Бизнес Online» に載った上記のボストーク社の記事です。

(追記 2020.11.29)
上記の記事では何故が画像がリンク切れしていますが、Internet Archive には画像付きの記事が保存されていましたので、リンクを張っておきます。

Иван Грачев, ЧЧЗ «Восток»: «Наши часы убивает ситуация в российском государстве»

 

f:id:raketa:20201129010748j:plainБИЗНЕС Online — Новости Казани

このおじさんがボストークの経営者*12グラチェフ・イヴァン・アナトリエヴィッチさん(Грачев Иван Анатольевич)で、時計工場所有者3人の内の1人です。一見すると怖そうですが笑顔は優しい 48歳*13、3人の子持ちです。


記事では詳しく言及されていませんでしたが、ロシアの時計業界全体が抱えていた問題(機械式時計の需要低下、安価な中国製時計の流入、消極的な行政の対応など)以外にも、

(1)2008年のリーマン・ショックによるロシア自動車産業の停滞で 40-45%を自動車部品で占めていたボストーク・グループに深刻な影響を与えた。(ボストーク社は単なる時計メーカーでは無く数十の企業を抱えるグループ)*14

(2)この状況で取引銀行から助け船どころか、金利引き上げなど理不尽な仕打ちを受ける。(どこの国も同じだな…)

(3)2008年に国防省の新しい軍用時計の生産に向け、工場設備へ相当な投資を行うが、計画の度重なる変更とそれに伴う支払いの遅れにより最終的には資金がショートし融資返済が滞る。*15

などと色々な不運が重なって倒産に至ったようです。負債額自体は数千万円で、グループの評価額が数十億円の点を考えると、リーマン・ショックで余力の無い銀行が最後に手を離した感はあります。映画「タイタニック」のあのシーンをふと思い出しましたが、実際はドロドロの「半沢直樹」でしょう。

企業側に立った情報を元に書いていますので、更に調べてまた別のところで詳細に書きたいと思っています。

 

 また、ロシアのビジネス経済新聞 «Коммерсантъ» のオンラインサイトには「コマンダスキー」「アンフィビア」の大切な商標は、その時計製造の権利と共に関連会社に譲渡されており、売却されないと書かれた記事もありました。

チストポリ時計工場 <ボストーク> は倒産したが、ブランドは守った
www.kommersant.ru

 

 復活のボストーク

ボストーク社が倒産後、どの様に資産が清算され、再建に漕ぎ着けたのかは分かりませんが、関連会社へ譲渡するという奥の手(法的に大丈夫なのか?)を使ってまで守ったブランドの商標や生産の権利が無ければ、今頃はそれらを買い取った外資から、中国製のムーブメントが入ったコマンダスキーやアンフィビアが売り出されていたかもしれません。外野的には再起出来て良かった良かったですが、債権者は踏んだり蹴ったりかもしれません…。

8000平方メートルの敷地に1000もの製造機器と450人の従業員を有するロシアで唯一*16、部品から一貫生産出来る時計工場としてボストーク社は今日も稼働しています。*17  

 


Грачев.Чистопольский часовой завод "Восток"

ビジネス電子新聞 「Бизнес Online」と同じ記事の動画もあります。
工場長のインタビューと共に工場の様子も写ります。しかし、ロシア語の字幕さえ無いので何を語っているのか分かりません。知りたい。

 

これとは別に、ロシアの時計雑誌「Часовой бизнес」(一般の書店で販売される雑誌ではなく時計店へ配布される業界誌)のオンラインサイト「TimeSeller」では、2017年の再建されたボストーク社を紹介する記事が載っています。
Чистопольский часовой завод: впечатления экскурсанта

f:id:raketa:20201008022644j:plain

 

この記事を掲載した雑誌「Часовой бизнес No.1 2017」自体もバックナンバーとしてオンラインで読めます。もちろんロシア語ですが、眺めていても楽しい。ボストークの記事は P26~P29 です。 

www.yumpu.com

 

 

こんな感じで作ってます

2018年にYouTubeに投稿された、チストポリのボストーク社見学の様子を伝える動画です。40分近くに渡って部品の加工から組み立て、検査まで詳しく撮影されてます。これは凄い!でもカメラの動きが激しいのが、玉に瑕。ちょっと酔うかも…。*18

часовой завод восток YouTube

しかし、それにしても年季の入った機械が多い。動画の一番最初にチラッと写る黄色いマシンこそ2016年に導入されたCNC工作機*19のようですが、それ以外の多くがソ連時代の機械ではないでしょうか。(途中スイス製も写りますが)また、工場もソ連時代と同じ建屋かは不明ですが、いい味出してます。もしこれが白黒映像なら、ソ連時代の記録映画と言われても信じるかもしれません。*20

 

 謎のプレート 知りたい篇。

f:id:raketa:20200110143900p:plainчасовой завод восток (11分35秒) YouTube

動画の10分30秒辺りに登場する、穴石(ルビー)を地板へ入れる機械はまぎれも無くソ連製でしょう。機械右端にあるプレートが途中アップ(上の写真)になり、「МИНПРИБОР СОЮЗЧАСПРОМ А-332М」のキリル文字が見れます。何と書いてあるのか、凄く気になったので調べてみました。


最初の文字「МИНПРИБОРミンプリボール)」は、ソビエト連邦での機器製造やオートメーション関連を所管する政府機関で、正式名称は「Министерство
приборостроения,
средств автоматизации и систем управления СССР*21 *22 と、あまりに長いので「МИНПРИБОРミンプリボール)」のような略称が付いています。アメリカでは「Ministry of Instrument-Making, Automation Devices and Control Systems」と訳されています。*23
日本では「ソ連邦器具製造、自動化手段、制御装置省」 *24  と機械翻訳みたいな名前ですが、歴代の大臣名から辿って「現代ソ連人名事典」*25で見つけたので間違いなはずです。

f:id:raketa:20200202220505p:plainчасовой завод восток YouTube

続く「СОЮЗЧАСПРОМ(ソユーチャスプロム)」は、時計産業に属する工場や特別設計局、研究機関などを統合する組織です。*26*27
英字で「SOYUZCHASPROMとなり、これが CIA の下部組織が製作したソ連の国家組織名鑑「Directory of Soviet Officials: A Reference Aid」 *28  に載っており、それによれば「All-Union Association of the Timepiece Industry 」と記載されています。さしずめ「全時計産業連合」くらいでしょう。

話が長過ぎるので一服…。

 

ボストーク時計工場はどこ?

f:id:raketa:20200128205307j:plainАвтор: Добрый ТиП at ru.wikipedia, CC BY-SA 3.0

ロシア語版のウィキペディアにも載っているボストーク社の写真で、色々な所で使われ(ここでも)有名な写真です。YouTubeの動画もこのビルの工場で撮影されたと思っていましたが、どうも違うようです。


現在のボストーク社の住所が、倒産前と違うことに気づきました。

2008年 422981,  г. Чистополь ул. Энгельса, 127
2020年 422981,  г.Чистополь, ул. Энгельса, 129Т

郵便番号と、それに続く「チストポリ市、エンゲリサ通り」までは同じですが、最後の番地が「127」から「129T」へ変わっています。些細な事ですが気になるので調べました。

因みに住所の中の「г.」はで、「ул. 」は通りの略語、129番地の最後の文字(この場合は「Т」)は通りに面してない場合などに付く「корпу(コルプス)」と呼ばれる番地を補足するものです。*29

下は最近撮影*30された Google Map のストリートビューに写るボストーク時計工場として知られるビルです。しかしその外観には以前に無かった色々な看板が見受けられます。壁面には保険会社(Итиль Армеец)や音楽教室(КЭТТИ)の看板がかかり、正面の入り口には、ロシア最大の銀行「Сбербанк России」(ロシア貯蓄銀行 / 通称:ズベルバンク)*31 や、ロシアで4,000店舗を展開する化粧品チェーンストアで有名な「МАГНИТ КОСМЕТИК」(マグネット化粧品)の看まであります。

しかしその中央には、ちゃんと「ВОСТОК」の文字がありました。一安心‥。


だが、ボストークの文字の上には「時計工場」ではなく「БИЗНЕС ЦЕНТР」(ビジネスセンター)の文字が!*32

オンライン地図サービスのウィキマピアによれば、このビルには現在38もの店舗や企業が入居しており、ビルの説明文には「ボストーク時計工場管理部の旧館」と書かれている。このビルはボストークの事務方の建物だったようで

すが、そうすると

そもそも時計工場は何処 ?

因みに、この旧ボストーク時計工場の現在の名称を調べていたら、ロシアの地方銀行「Татфондбанк」(タットフォンドバンク)のATMリストに載っていました。このビルの住所と共に「Бизнес-центр "Восток"」(ビジネスセンター・ボストーク)と記載されていました。(看板そのまま。調べた甲斐が無かった‥)

上は、 Google マップのストリートビューで見たチストポリ市のエンゲリサ通りです。左側の通りに面したビルが「ビジネスセンター・ボストーク」で、番地は「127」。そして右が裏手に当たる建物で番地は「129T」。(上で書いた最新のストリートビューでは右の建物の手前に、新しい建物*33が建っていて見えません)右の建物を拡大すると、6枚ガラスの縦長な窓が見えます。中央の2枚が大きく、上下が小さい特徴的なものです。


https://stcdn.business-online.ru/photos/298807/78382.jpgИван Грачев, ЧЧЗ «Восток»: «Наши часы убивает ситуация в российском государстве»

上は前出の「Бизнес Online」に掲載されたボストーク社の写真です。写真奥に 129T番地の建物と同じ6枚ガラスで縦長、中央2枚が大きい窓が写っています。また前出の動画にも、同様の窓が数多く写っています。

 

f:id:raketa:20200202123737p:plain часовой завод восток (25分10秒) YouTube

そしてもう一つ、下の動画で25分辺りに窓から隣接の建物が見えます。その建物の窓は中央縦に白い棧(サン)があり、更に横に短い棧が右は下、左は上に入っています。これはビジネスセンター・ボストークの窓とそっくりです。

動画や写真、ストリートビューなどから時計製造工場はビジネスセンター・ボストークの裏手の建物に有ると考えて良いでしょう。(しかし実際に行ってみたらソ連時代の建物はどれもこれも皆同じで、推理がだだハズレかもしれません。)


製造工場自体が以前からここに有ったのか、一部が表のビルに有ったのか(動画の設備があのビルに全て入るとは思えないので)また他の場所だったのかは不明です。ただ住所変更の点から、本社機能が倒産を機に(ビルが債権者に持って行かれたとか‥)表のビジネスセンター・ボストークの場所からここへ移転して来たのは間違い無いでしょう。

[追記:2020-09-04]
ООО "Восток - точное время"」という掛け時計、置時計などを製造する小さな関連会社が127番地のビジネスセンター・ボストークに入っています。

f:id:raketa:20201008015310j:plainООО "Восток-Амфибия"

「129T」には、グループ企業で水道メーターの製造で有名な、計測機器製造の「БЕТАР」社もあります。確かに建物の上に看板が写っています。それ以外にもボストーク社の潜水時計アンフィビアと同じ「ООО «Восток-Амфибия»(ボストーク-アンフィビア)」という驚きの会社もあります。最初の「ООО」は「俳優のОООさんは不倫しています。」と言うよな「ピー」的な物では無く、「Общество с ограниченной ответственностью」という有限会社を表す言葉の略語です。

このボストーク・アンフィビア社は、1997年に設立されたグループ企業でプラスチックの加工・製造の会社ですが、何故こんなズバリな名前を付けたのかは不明です。もしや、ボストーク・コマンダスキー社も有るのか?


ストリートビューでは、街が汚く写っているので綺麗なチストポリとボストークが写った写真を一枚。

f:id:raketa:20200904144047j:plainЧистопольский часовой завод «Восток» - Чистополь

写真の左端、縦に走るのがエンゲリサ通りで、奥の赤丸がビジネスセンター・ボストークです。その右の赤丸の大きな建屋(の一部)がボストーク時計工場です。ビジネスセンター・ボストークの手前の下半分が青い建物は、最近建てられた関連会社「БЕТАР」(前出)のビルです。

行ってみたい!


一服の方が長過ぎる…。

 

謎のプレート 知りたい篇(続き

f:id:raketa:20200110143900p:plain часовой завод восток (11分35秒)  YouTube

真ん中の五角形のマークは 「Минский часовой завод(ミンスク時計工場)」の頭文字 М ч З  を組み合わせた工場の商標です。ч の文字が分かり辛いでМ の文字に組み込まれています。それに続く「А-332М」の上下の小さな文字は「Г. Минск 」と「СДЕЛАНО В СССР」(何故か СССР が消されている)で、「ミンスク市ソビエト連邦製」となります。どうやらミンスク時計工場で作られたみたいです。 最後に「А-332М」ですが、機械の型番という事は分かりますが、詳細は見つかりませんでした。残念。

 

Автомат А332М | Библиотека изображений "РИА Новости"


ただ、1970年代に撮られて写真はありました。「時計業界で使われた、石を地板*34 へ圧入する自動機械 А332М」となっています。また、ロシアの中古機械を扱うサイトには同様の説明(「Автомат для запрессовки камней в платину А332М 」)と共にリストに載っていましたが、在庫は無いようです。*35

 

追記:詳細が分かりました! この機械が気になって夜も寝れないという物好きな方は、是非「А-332М 編」をご覧ください。

raketa.hateblo.jp

 

謎のプレート 解決篇

まとめますと、結局プレートの内容は以下の通りです。

f:id:raketa:20200124164042p:plainчасовой завод востокYouTube

ミンプリボール器具製造、自動化手段、制御装置省
2)ソユーチャスプロム全時計産業連合
3)ミンスク時計工場の商標
4)ミンスク市
5)A-332M
6)ソビエト連邦製 (多分 (4)+(6) とで ミンスク市ソビエト連邦製)

苦労して調べた割には「ふーん」と言われそうな内容です。まあ、どちらにしてもこの機械はソ連時代に作られ物に間違いないです。*36

f:id:raketa:20200130175257p:plainчасовой завод восток (28分) YouTube

この動画の撮影時期が不明でしたが(動画の投稿は2018年)28分辺りで作業する女性の前に、小さなカード型のカレンダーを見つけました*37。 そこには「2018」とあるので、これはやはり倒産後に再稼働したボストーク社です。取り敢えず、現在もチストポリでソ連時代のムーブメントを作り続けていますし、時折新製品も発表しているので大丈夫でしょう。でもコロナの影響が心配だ…。


がんばれ、ボストーク!
コロナにも負けるな!

 

モスクワ第2時計工場の悲劇

チストポリにあるボストーク社へは一度訪れてみたいと思っています。しかし、遠いし英語は通じないだろうし、私のロシア語はもっと通じないので、当分の間は訪れた人の動画かブログを探して応援したい。

 

しかし、こんな姿になったボストークだけは見たくない。無残にも廃墟と化したモスクワ第2時計工場を紹介するブログ。

mister-marat.livejournal.com

ボストークの前身として、その後はスラバとして知られたソ連の時計産業を象徴するモスクワ第2時計工場は、2005年に工場の敷地に商業施設の建設を画策するロシアの銀行「Глобэкс(グロベックス)」 *38に買収されると、その長い歴史に幕を下ろしました。その後、商業施設の計画は頓挫し工場は長らく放置されていましたが、2008年にモスクワ市へ譲渡されると開発は動き出し、ボストーク社の出発の地でもあるモスクワ第2時計工場は、2010年に解体され消滅しました。
寂しい限りです。

 

 

 

 

 ボストーク・ヨーロッパとは

f:id:raketa:20191214095326j:plain

ボストーク・ヨーロッパは、単なる時計のブランドであって、製造しているのは、「Koliz Vostok 」社で、2003年にリトアニアの「Koliz」社とボストーク社の間で設立された合弁会社です。現在、ボストーク社がムーブメントを供給してはいますが、別会社なのでセイコーやシチズンなどのムーブメントを搭載した時計も製造販売しています。ただし、ボストーク社のような自社で全てを一から製造するタイプの企業ではありません。

親会社 Koliz 社は、バルト諸国の縫製器機や関連部品を供給するサプライヤーで、日本のヤマトミシン製造との業務提携が有ったり、「蛇の目ミシン」(懐かしい)の製品を扱ったりと、意外と日本と所縁のある企業みたいです。Koliz グループ内には、1998年に設立された Koliz laikrodžiai(コリズ時計)という時計事業の会社も有り、Atėjo laikas(It's time かな?)という時計小売チェーン店を展開し、オンラインショップも運営しています。

追記2024年2月5日付けでボストーク社は、「 VOSTOK-EUROPEの製造に関与しておらず、2018年第2四半期以降、ムーブメントの供給を行っていません。」と発表。 

 
 
こんなに長い記事を、最後まで読んで頂きありがとうございます。間違いの指摘や感想などをコメント欄へ頂けたら幸です。そして途中で断念された方(ここは読んでないと思うけど)、お時間のある時に再度挑戦して下さい。
 




[更新日と内容]

2020-02-02  公開。
2020-02-04  倒産の背景などを加筆。
2020-02-24  画像が更新されたGoogleストリートビューへのリンクを追加。
2020-03-01  スマートフォンで動画の途中再生が出来ない不具合を解消。
2020-03-03  SLAVA, Komandirskie, Amphibia へリンクを追加。
2020-08-22  目次を作成。
2020-09-04  関連会社「ООО "Восток - точное время"」を追加。スペル修正。
2020-09-29  ボストークビルの説明記事のリンク切れや誤りを修正し加筆。
2020-10-08  Vostok-Amphibia社のロゴを追加とリンクを追加。
2020-10-10  A-332Mの画像リンク追加と加筆。脚注への加筆、修正など少々。2020-10-11  ボストーク・アンフィビア社の業種内容を修正。
2020-11-29   «Бизнес Online» の記事の画像リンク切れの為にInternet Archive      のリンクと画像を追加。
2021-04-15 注12,13を加筆。
2021-04-20 グラチェフ・イヴァン・アナトリエヴィッチさんの役職を工場長から      経営者へ変更。(正確な訳が分からない。)
2021-06-26 Google Map が更新された為、タイムマシンのリンクを修正。
2022-12-23 A-332M の画像リンク切れの修正と、「А-332М 編」へのリンク追加。
2023-04-13 「СОЮЗЧАСПРОМ は時計工作機械の設計局がその元」の記述が誤りなので修正。
2023-11-12 Google Map ストリートビューが自動表示されないのでリンクを追加。
2023-11-15 上記の問題が解決したのでリンク削除。
2024-03-03 ボストーク・ヨーロッパの新しい情報を追記。


 
     

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*1:ポレオット 又は パリョート(発音はこちらが近い)

*2:スラバ

*3:ポベダ 他の工場でも生産されました。

*4:ザイア 婦人時計

*5:日本時計学会誌 「ソ連の時計工業について」シチズン時計KK  / 著:元持邦之 / 1957年 4 巻 49-54 J-STAGE

*6:ラケタ

*7:モルニヤ

*8:コマンダスキー

*9:アンフィビア

*10:ロシア語だったので、多分こんな感じだと思います。

*11:ボストーク社の Cal.24xx系以外にも2021年現在では、モルニヤは Cal.3603、スラバは Cal.2427、ルーチは Cal.1801.1 など旧ソ連時代のムーブメントを復刻させ、ラケタは改良した新しい自動巻き Cal.2615, Cal.2624 などを製造し、各社は新しい時計を作っています。ただ、ボストーク社の様な一貫生産なのかは不明です。

*12:肩書の「генеральный директор」の正確な訳が分からない。

*13:2021年時点

*14:「ロシアにおける乗用車、軽商用車の新車販売台数は、景気後退により前年比49.4%減の1,465,917台となりロシア最大のAvtoVAZをはじめ国内メーカーは深刻なダメージを被った。」  ”平成21年度 工業機械産業における新興発展地域の知的戦略に関する調査研究報告書”(社団法人 日本機械工業連合会)より

*15: (2) (3) ロシア語  https://tatcenter.ru/news/komu-i-zachem-hochetsya-obankrotit-chistopolskij-chasovoj-zavod/ 

*16:記事が掲載された2016年時点

*17:定休日は除く

*18:再生速度を0.5-0.75 辺りにすると大丈夫です。消音してゆっくりと機械や工場を観察すると、色々と発見が…。

*19:http://vostokinc.com/news/novosti_cnc_mashina/ より

*20:ちょっと言い過ぎ

*21:オンライン露露百科事典「АКАДЕМИК」より

*22: 1965-1989年のあいだ存在した組織。

*23:英語版ウィキベディ「Министерство приборостроения」の検索結果より

*24:「ソビエト経済計画・管理の情報システム化 : 80年代の動向」中江幸雄 立教Roots
 / こちらには「ソ連邦機器・自動化手段・管理システム省(ミンプリボール)」と成っています。ソ連の自動化について凄く詳しく書かれています。

*25:安かったので買ったが、死ぬまで役に立たないと思っていたので良かった。

*26:Мир измерений(計測世界)」No.1 2014  P54  Google Books より

*27:ミンスク時計工場がその中心的な役割を担っていたみたいな事が、工場の有ったベラルーシ共和国のアーカイブリストに載っていました。http://fk.archives.gov.by/fond/112130/ 

*28:Google Books 「SOYUZCHASPROM」の検索結果より

*29:ニジェガローツキー・ドヴォール 」が凄く詳しい! http://dvor.jp/adress.htm

*30:2019年7月撮影。ストリートビューのタイムマシン機能で2013年5月の画像も見れます。

*31:ロシアのウクライナ侵攻でSWIFT(国際銀行間金融通信協会)から除外された報道により、日本でも有名になったはず。

*32:ボストーク時計工場のあるチストポリには「ВОСТОК」と付いた関連企業が多いので惑わされる。

*33:下に出てくる関連会社『БЕТАР』の看板があるので、新しく出来たショールームでしょう。)

*34:何故か「платина」プラチナとう単語が使われている。

*35:在庫が有って、価格が手頃でも買いませんが…

*36:「長々と書いて、結論はそれかよ!」と言わないで。

*37:24分36秒辺りにも、子犬のカレンダーが机にあります。

*38:2018年に経営危機から他行と合併して「Связь-банк」となっています。